今さら聞けない 『スポーン』基礎知識。これで君もヘル・スポーンだ! #オタブログ
コンニチハコンバンハオヤスミ。
ドーモ。ガラ空き デス。
突然ですが、今、アメコミ界では『スポーン』がかなり面白い事になっている。
スポーンといえば、90年代を代表する1つのサブカルチャーのアイコンともなった作品なのだが、ブーム終焉後は「アメコミブーム」ともてはやされる昨今でも、なかなか省みられることは少なかった。ところが近年、キックスターター企画やリメイク実写化などの話題で当時を知るファンが再燃、再び注目を浴びる機会が増えたのだ。
そもそも『スポーン』って何さ
というところも含めて、詳細を語り出すと本当にクソややこしいので、オタク特有の早口で語り聞かせたい気持ちをグッと抑えて、これさえ押さえておけばオーケイというギリギリのところまで内容を吟味しました。
グダグダ書いて「うわ、めんどくさ」と思われるのも嫌なので、各項目はなるべく短め簡潔にまとめるため、やや正確さは欠きます。ゴメンネ!
最初に補足すると、アメコミは1人の作者が全てのエピソードを全て1人で担当するわけじゃなくて、原作者、作画、着彩と担当者が変わったりするシステムで描いてたりするのと、特にスポーンは話数でもいきなり絵柄やテイストがガラッと変わるよ!
スポーンとは?
CURSE OF THE SPAWN 日本語版 コミック 全6巻完結セット (DENGEKI AMERICAN COMICS)
- 作者:トッド・マクファーレン
- 発売日: 2000/01/01
- メディア: コミック
とある時期までマーベルで『スパイダーマン』や『デアデビル』なんかを書いてたトッド・マクファーレンっていう漫画家オジちゃんの考えたオリキャラ。
『ヴェノム』の生みの親でもある。
このオリキャラの連載開始(1992年)から間髪入れずに、とうとうトッドおじさんは自分のオモチャ会社を作って、スポーンのフィギュアを売り始めるんだけど、これがもうバカ売れ。
「ゲキヤバ即ゲット」の旗のもと、世界各地でフィギュア争奪戦が起こる社会現象を巻き起こすよ。女性キャラがノーパンのエラー品ですら、当時はレア物とされて高額取り引きされたりしたんだ。このブームが大体1994年から1995年あたりで始まるよ。
その頃、我が日本では『新世紀エヴァンゲリオン』が放送開始したりして、日米フィギュアブームの火付け役のアイコンに!
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原作の主なキャラクターについて
スポーン(アル・シモンズ)
今作の主人公で元CIAのスゴ腕工作員。嫁が好きすぎて地獄の悪魔と契約して5年ぶりに現代に蘇るけど、嫁は再婚してるわ、ストーカー扱いされるわと基本、散々な目に合う。別名ホームレスの王。人の忠告を聞かないせいで、散々な目に合う。天使と浮気エッチするのはOKな人。
コスチュームは地獄から来た生体兵器で、宿主であるスポーンを守るため、赤いマントや鋭いチェーンを伸ばして対象を攻撃する。
(同じくマクファーレンの手掛けた『ヴェノム』のシンビオートと似た性質を持っている)
生物の”憎悪”や”悪意”といったものを活動エネルギーとしており、そのためにスポーンは悪人やスーパーナチュラルといった類の化け物共と永遠に戦う宿命にある。皮肉だね。
犯罪率の高い路地裏をねぐらにしたことは、ある意味スポーンにとって最適な環境とも言えるが、悪人からエネルギーを得られなかった場合の安全策としてゴミ箱にウジ虫を培養していたりする。
オエッ。
コスチュームについて
スポーンのデザインは連載中から数多のマイナーチェンジを繰り返している。中にはフィギュアのみのバリエーションもあるが、最低限抑えておくべきところだけご紹介。
クラシック・コスチューム
スポーンの基本形態となる姿。後述のモダン・コスと異なり、体色の赤色が多く手足の装飾が少ないのが特徴。まだマントやチェーンを使いこなせていない状態で、軍人仕込みの銃器による攻撃に頼る事が多い。
モダン・コスチューム
最も立体化される率の高い状態のコスチューム。
クラシックとの大きな違いは体色の赤色が減ったことや、スパイクの増量
マントの大型化など。最も顕著なのは右腕のクローと、右足のドラム缶状のアーマーだろう。
徐々に地獄から受け継いだパワーの制御に成功し、マントやチェーン、緑色の発光が鮮やかなネクロプラズムなどによる魔法に似た攻撃を主体とするが、エネルギーの消費が激しい場合は、状況によって物理兵器を併用したりする。
コマンド・スポーン
テリーと結託し、ジェイソン・ウィンの保有する兵器庫を襲撃した際(電撃コミックス19巻)のコスチューム。フィギュアの出来栄えも相まって、人気のスーツだ。
マントはマスク状に変形することで、収納されており、これぞ全身武器庫という見た目通り、圧倒的な火力を誇る。
ハンバーガーヘッド
スポーンことアル=シモンズは地獄に落ちる際に全身を焼かれたことにより、
体組織の全てが焦げ、骨にウジ虫の這う焦げた肉がこびりついたおぞましい外見をしている。
後に「ハンバーガーみたいな頭」と形容されたことにより、マスクオフの状態を「ハンバーガーヘッド」と呼称するようになる。
また、素顔Verのスポーンのフィギュアの多くは、顔の中心を紐で縫い付けたようなビジュアルで造形されているが、これには由来がある。
番外編として描かれた『スポーンVSバットマン』にて、物語のラストでバットマンに共闘を申し出たスポーンに対してバットマンが返事の代わりによこしたバットラングによる傷跡がそれである。
仲間のホームレスにスニーカーの紐でつなぎ合わせてもらったのが右の状態。
ネクロパワーで増強されて以降はこの傷はなくなったが、スニーカーの紐はとあるきっかけでワンダの娘、サイアンの手に渡ることになる。
ワンダ・ブレイク
スポーンの元嫁。今は他人棒で一児の母に。
度々描かれるページぶち抜きの立ち絵がとにかくエッチ。理解度が悪いので、頭はちょっとユルいかも。身体はかなりエッチ。
テリー・ブレイク
スポーンの親友だけど、ワンダの旦那。
早い話がNTRの張本人だけど、「死んだら嫁宜しく」って言ったのお前じゃんとか内心思ってそうだぞ! 正義感ゆえにヤバい橋を渡るクセがあり、火中の人になりがち。
ジェイソン・ウィン
シモンズを地獄送りにした金持ちクソ野郎。
おおよその元凶はコイツかと思いきや、ただの操り人形であることが分かってからは悪役としての格も落ちたので、新たに身の置き所を探すため、さらに悪事を重ねちゃう浅ましい中年。
一回だけ天界に拐われて、コスプレ洗脳プレイの一環として「アンチスポーン」と名乗ってスポーンと戦ってた気がする。
サム&トゥッチ
アメリカの警察官って、とにかくドーナツとコーヒー食ってる印象あるよね。
サムは大食漢のデブだけど、相棒思いの無骨漢。トゥッチはガリでメガネだが、切れ者で奥さんは最高にエッチだ。
上司が汚職に関わってたんで、幻滅して警察を辞めてからは2人で探偵事務所を切り盛りしてるよ。この作品の数少ない良心。
カリオストロ侯爵
スポーンにアドバイスを与える謎の老人。
正体は魔術師マーリンで、かつてスポーンだった男で、今作のヨーダにあたるポジション。
自立を促す為とはいえ、助言がいちいち回りくどいんだよジジイ。
バイオレーター/クラウン
地獄の狂犬的存在。年中イキってるヤンキーだけど実際強いから誰も文句が言えない。
スポーンに地獄の大将の座を横取りされて内心面白くないが、もっと面白くないのはスポーンが人間的すぎること。常にスポーンにつきまとって、あの手この手で堕落の道に落とそうとするよ。この作品のヤンデレ担当。
スピンオフのコミックは「過剰なマッチョ」「洒落た言い回し」「読みづらすぎるコマ構成」と、まさにアメコミという内容になってて、マジで面白い。
アンジェラ
天使のスゴ腕狩人で、身体はとてもエッチ。
アンチスポーンで、最初はツンツンしてたけど、洞窟でスポーンとエッチしてからは軟化した。たまに仲間からはその事をからかわれたりするけど、まんざらでもなさそう。スピンオフ作品では一人で地球を滅亡から救ったのに、あんまり注目されないばかりか、キャラ権利を巡ってマーベルと色々と複雑な大人の事情をもつ人。
オーバート・キル(過剰殺戮)
マフィアに雇われた全身サイボーグのオッサン傭兵。スポーンにコテンパンにされて以降、脳みそに障害を負って長らく行方不明に。
義理の兄に魔改造されて「オーバート・ウォー」に進化した。
忘れた頃に帰ってくるあたり、マジでめんどくさい親父みたいだ。
フィギュアは首が伸びるギミックがあるけど、別に原作にそんな描写は無い。
2020/06/30追記
買ったぜ。シリーズ20のオーバートキル。
このバルキーさ、見とけよ見とけよ〜
トレマー
こんなナリして、意外と味方ポジの改造人間だ。家族がマフィアに皆殺されたり、結構かわいそうな人。
フィギュアはキャラが定まってなかった時期のものだから、機械の腕が伸びるギミックがあるけど、別に原作にそんな描写はないよ。
マレボルギア
地獄の親分。色々と画策するのが得意で、暇があれば何かを画策してる。
たぶん、ちゃんと口が閉じれない。口臭いとDISされることが多い。
ジェイソン・ウィンを裏から操ってシモンズを地獄に寄越させたのもコイツ。
バイオレーターからは「新しく来た社長、前の奴より多少マシなレベル」的な陰口叩かれてんのほんと草。
大体の主要キャラはこのくらい。あとはガイキチ狂信者のカースや、サイボーグゴリラのサイゴーなど、挙げ出すときりがないのでこの辺りにしておく。
スポーンの亜種
スポーンはあくまで総称だから、地獄に落ちた人間の数ほどスポーンはいるのだ!
メディーバルスポーン
中世のスポーン。イケおじ騎士を気取ってるが、あっさりアンジェラの策略にかかってゼツメラーイズ。フィギュアは超カッコいいのに。
活躍を見たいなら、身売りして『ウィッチブレイド』とコラボした番外編を見よう!
ダニエル・エランゾ(カース・オブ・スポーン)
アル・シモンズとは全く関係ないスポーンが主人公のオムニバス。
未来の悪魔に支配されてしまった地球が舞台。シスコン。フィギュアは傑作!
アニメ版スポーン
満を持して放送されたアニメ版スポーンに登場するスポーン。
キャラ設定などは原作ままだが、とにかく動かないのと、シルエット姿が基本で、顔すら見えない描写が多く、モダンホラーみたいな内容になっているので、原作でのカッコいい活躍を期待すると痛い目に会う。吹き替えは大塚明夫。
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フィギュアブームの到来と終焉
社会現象とまでなった『スポーン』ブームも、21世紀を迎える頃になると、一気にその熱気は陰りを見せ始め、やがて終焉を迎えるのである。
ある程度、原作ベースで進んでいた商品展開も、おもちゃ限定の独自展開を突き進むことになり、残ったコアなファンがグッズを買い支える時代がしばらく続く。
時同じくして、すっかり熱の冷めてしまったファンがコレクションを手放すケースが続出。全国各地のリサイクルショップにて『スポーン・ワゴンセール現象』が続発する。
B●●K OFFなどで、一度は100円〜500円くらいで投げ売りされているスポーンのフィギュアを見たことはないだろうか?
人気と反比例するように、フィギュアの完成度は年々完成度を上げるばかりだったが、
世間は「全身20箇所以上のフルアクションフィギュア」全盛期。
どのメーカーも、こぞって自由にポーズをつけられるフィギュアの開発戦争にのめり込む中、
安易に関節を仕込むことで、人体の持つプロポーションの美しさを損なうことを、酷く嫌ったマクファーレンは、半固定ポーズのハイクオリティフィギュアの生産に執着し続けることにより、「低価格で変える動くスタチュー」と形容されるまでに至った。
この間、『スポーン』以外の路線でゲームキャラクターとのコラボや、スポーツ選手の立体化、『オズの魔法使い』を独自アレンジした世界感で立体化した『OZ』シリーズなどなど、迷走とも思える路線を突き進むことになり、純粋な『スポーン』ファンの食指は益々遠のくことになる。
やがて『HALO』シリーズや『ウォーキング・デッド』などの人気作品の商品化ライセンスを取得したマクファーレンは、徐々にアクションフィギュアへのスタンスを変化させ、「見た目を損ねないフルアクションフィギュア」の裾野を広げていく。
思えばこの頃からマクファーレン復活の狼煙は上がっていたのかもしれない。
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残虐格闘ゲーム『モータル・コンバット11』ヘのゲスト出演
何度かゲーム作品へのゲスト登場の機会のあった『スポーン』だが、2018年に、
原作者であるトッド・マクファーレンが格闘ゲーム『モータル・コンバット』にスポーンが登場することをほのめかした。
『モータル・コンバット』といえば、残虐すぎる格闘ゲームとして名高い、人気作だ。
モーコンのゲーム性であれば、同じくグロテスクな描写をウリとする『スポーン』の世界観とマッチするのでは?という周囲の期待ももちろんだが、長年ひっそりと姿をくらましていた「暗闇の王」の再登場に当時のキッズたちは歓喜した。
吹き替えを担当するのは、アニメシリーズ等でスポーンの吹き替えを努めたオリジナルの俳優、キース・デイヴィット氏を起用。
あくまで『モータル・コンバット』の名義だが、10周年記念として発売されたフル可動版となる「SPAWN 10TH ANIVERSARY」
からおよそ20年ぶりとなる全身フル稼働のスポーンのフィギュアが発売され、当時のファンたちの眠っていた心に火をつけた。(現在はコロナショックの影響で7000円以上の高値がついているが、基本販売価格は日本円で4000円前後。ありえなーーい)
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キックスターターによるリメイクフィギュア企画
2020年2月、ニューヨークで開催されたトイフェアにて、
『スポーン』の新企画が発表された。
フィギュア第一作目のスポーンを最新技術を用いて、フルリメイクする今企画は、
開発進行費を含めた予算を一般からの支援(クラウドファンディング)による企画にする、と豪語したマクファーレン氏。
会場に展示された1995年当時のクラシックなコスチュームに身を包んだスポーンのフィギュアに世界各国のスポーン少年たち阿鼻叫喚。
同年4月からクラウドファンディングが開始されるが、目標額とされていた10万ドル(約1000万)を開始当日に早々にクリアーし、ここから怒涛の勢いで出資額を増やして行く。
最終的には応募締め切りとなった5月9日の時点で、およそ3億円のプレッジを達成した。やべぇ。
支援は40ドルからスタートし、80ドル〜120ドル〜といった金額に応じて、
リターンとして送られてくるフィギュアの種類や付属品などが変化する。
当初は固定モデルと思われていたが、全身フル可動であることが判明。
固定モデルの名残である「腰のひねり造形」に関して賛否両論が起きているが、
過去に発売ギリギリでポージングを変更してきたマクファーレンなので、実際の仕様はもう少しアップデートされないとなんともいえない。
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リメイク実写版の制作開始!
1997年に一度『スポーン』として実写化を果たしている今作だが、当時の最先端VFXを駆使したビジュアルは、鮮烈な印象を残した。
肉体派アクションにやや寄った内容だったが、今ではこのヌラヌラとしたマントの質感などが逆に面白いビジュアルに見える。
余談だが、最近、1997年版のフィギュアをカスタムしている人がいて、思わずイイねとRTを押しまくってしまった。
アメヤマからスポーンだ!って言うのは冗談で、無茶動くスポーン作りました!楽しすぎる!動画はこちらhttps://t.co/oyQ3ETBU1L pic.twitter.com/56yLhmzb2a
— ミスターキリング (@4CxTt8TTsptMd8A) 2020年5月21日
現在は主演にジェイミー・フォックスを据えて、リメイク版実写映画の制作が発表されており、本格的なR指定のアクション映画になるとのこと。公開は当初2020年以内で進行していたが、コロナによる遅延と、大物脚本家との金銭的なトラブルが重なったため、どこまで進行しているのかは謎のままだ。
あくまでも憶測だが、ゲーム出演やクラウドファウンディングはリメイク実写化に差し当たってのプレゼン兼資金集めだと言われている。
どちらにしても、スポーン復活を望む声はクラウンドファンディングで証明された今、この実写版に関しても大きな注目が集まっている。
まとめ
1990年代後半を代表するカルチャーアイコンだった『スポーン』だが、努力の甲斐も虚しく、文字通り長らく闇の中でその身を潜め続けることになってしまった。
故にアメトイというもジャンルの入り口やフィギュア収集のきっかけになった作品の復活に、喜びの声を上げざるを得ないのである。
原作で描かれる物語も、陰鬱という声もあるが、
一人の男が克服し得ない”死”という経験を経て、改めて”愛”とはなにか、”家族”とは何かと問い続ける内容となっており、非常に多角的で読み応えのあるものだ。
いきなり全26巻を集めるのは酷だし、基本的に絶版なので、入手も難しい。
(僕は都内のまんだらけとBOOKOFFを駆けずり回って、どうにか揃えた)
おすすめなのは、スピンオフである『バイオレーター』と『アンジェラ』だ。
どちらも一話完結なので、読みやすいし、ある程度この記事の内容が入っていれば、内容の理解も容易い。
どちらも作者はマクファーレンではないが、『バイオレーター』はストーリーをアラン・ムーア大先生が担当しているし、作画はバート・シアーズなので、絵柄含めて相当に密度が濃い。
戒めおじさん、ことアドマニッシャーはいかにもアメコミというキャラ立ちでアメコミ入門書としてもおすすめだ。
これを気に、ぜひ当時のフィギュアやコミックの再販を望むとともに、
一時代を築いたブームの片鱗を味わって頂きたい。
ワンダァァァァァァ!!!!