『#モービウス』※ネタバレあり感想 「レトピーの原罪…どうして血を吸っちゃだめだっピか?」 #ぶっちゃけ映画感想
「地味」とか「海外スコアが悪いらしい」とか日本公開前から散々な言われようなスタートを迎えたモービウス。結論から申し上げると自分はこの映画、”アリ”でした。
主演のジャレッド・レトがセクシ~~なのは言わずもがなですが、今回事前に宣伝等でも全く取り上げられていなかったマット・スミス(以後マスミ表記)の存在がデカかったですね。
元々がスパイダーマンまわりのヴィランとして想定されていたキャラクターゆえ、「ヴィラン」をどうするんだ?って話が出ていましたがまさかの同族争い。
レト様とマスミの間で繰り広げられるクソデカブロマンス感情も相まって、終始イチャイチャしてるだけやんけ…とすら思ってしまったほど。
アメコミ映画なるもの、近年はやたらとユニバース構想の話題だったり事前準備無しで単独作でも楽しめるものが減ってきた印象ですが(MCUもフェーズ4入ってからのシャン・チーなど楽しいものもあり)こういう2時間くらいでふらっと見れるものが、自分は結構好みだったりするのでちょうどいいスケール感でした。
(監督のダニエル・エスピノーサの経歴漁って観たら『デンジャラス・ラン』『チャイルド44』『ライフ』とか出てきて、あー…この監督好きかも…ってなっちゃった)んだ
単純に私が「ヒゲもじゃのマヴい男がヘキ」ってのもあるんですがそれも込みで割と”偏愛”できる出来栄えだったんじゃないかと。 予告で既出でも実際観たら「オワッ!カッケー…」となるシーンも多々あり、特に『X-MEN2』の冒頭シーンとか好きでたまにYoutubeで見返す人なんかは刺さるんじゃないかなと思いましたね。
能力が覚醒してスローモーションになるシーンは、煙のような残像エフェクトも相まって「んあ~~~!!ここしゅきぃ~~~!!」ってなっちゃったし、ちゃんと前傾姿勢が取れるオモチャ出たら買いますよ私は。
それでも色々言いたいことはあるけど、ちゃんとラスト付近で原作準拠のコスチュームの配色をオマージュした、裏地が紫のオシャレコートを羽織るのに、宣伝で全くアピールできてないとこは勿体ないなぁと感じた。オタクは最終的なルックスに異様なこだわりがあるので(個人の感想です)
SNS上だと古いアメコミ映画みたいだったって意見をよく見かけて、思ったこととしては、
レト様は6時間おきに血を吸わないと死んでしまうので、そういう意味では”原罪”というか、生きてるだけで人様に迷惑をかけるってネタにも全振りできたと思うから「2000年代のアメコミ映画っぽい」ってコンテクストで雑に括られると、「いや、それは違うんじゃないスかね」と。モービウスは精神が善良でも肉体が期せずして悪事を働いてしまうんですよね。
そもそも彼にとって人命を救うという行為は、彼自身とマスミを救いたいっていうエゴの副産物であって、あくまでもこれ以上犠牲者を出したくないっていう線引きしか無い。だから本業の医師として人命を救ったとしても限りなくヴィランに近い存在だし、逆に後半では一切それに言及しなかったのはそういう事なのかなと。
例えば今作をマーク・スティーヴン・ジョンソン(『デアデビル』『ゴーストライダー』など)が監督してたらとか色々妄想するんだけど、今作はちゃんと時代に合わせた映像表現やルックだったりとか、クィアな要素を盛り込んでみたり、MCUに張り合わずにやるべきことはキチンとこなしてると思うし、 そもそもどう見たって今作って”勝負に出ている映画”では無いじゃないですかっていう。
戦争の最前線でほぼ五体満足で帰ってきたら小さな勝利ですよそれは。
『ヴェノム』公開時は、ぶっちゃけソニピクも「これをどう売ったらいいんだ…」っていう困惑が見え隠れしていて、「とりあえずヒーローではないし「最悪」で売っとくか」という判断に至ったんだと思うんですが、結果的にはそれが「想像してた映画と違う…」ってギャップによるマイナスの評価を生み出したと同時に、あの映画の中にブロマンス要素を見出したファンからの後ろ支えがあってかなりの人気作品になった背景を考えると、今回の舵切りは適切だったとも思う。
ただし、ポストクレジットに関しては完全に蛇足だった。
たぶんソニー側が意図して付けたんだと思うんで、あれが監督の意に沿うものかどうかは甚だ疑問ですね。