感想『500ページの夢の束』自閉症持ちトレッキー少女の冒険。これぞ正統派”オタク”の物語ではないだろうか

f:id:shin_tayo:20180917230955j:plain

 

地味に前々から気になっていた一作。

主演があのダコタ・ファニングってことで、「大っきくなったねぇ~

という、田舎のジジイみたいな気分でいざ、新宿ピカデリーへ。

 

 

 

監督は『セッションズ』のベン・リューインが務め、主人公ウェンディを『I am Sam アイ・アム・サム』のダコタ・ファニングが演じる。

スター・トレック』が大好きで、その知識では誰にも負けないウェンディの趣味は、自分なりの『スター・トレック』の脚本を書くこと。自閉症を抱える彼女は、ワケあって唯一の肉親である姉と離れて暮らしている。ある日、『スター・トレック』脚本コンテストが開催されることを知った彼女は、渾身の作を書き上げるが、もう郵送では締切に間に合わないと気付き、500ページの脚本と、胸に秘めた“ある願い”を携えて、愛犬ピートと一緒にハリウッドまで数百キロの旅に出ることを決意する。(公式より抜粋)

 

『アイアム・サム』『宇宙戦争』の頃から比べても、

f:id:shin_tayo:20180917231434p:plain

f:id:shin_tayo:20180917231432j:plain

 

明らかに成長したダコタ。

 

f:id:shin_tayo:20180917231853j:plain

現在24歳とのことですが、まー成長しましたな。

 

子役によくある、ドラッグ騒ぎとか引退疑惑も無く、すくすくと成長しているようで、おじさんはうれしい限り。

 

眉間にシワを寄せると幸福が逃げる」と申しますが、

しかめっ面系女子は大歓迎な筆者としては、「いい顔しやがる」と、

ただただ頷くばかりですよ。

 

さて、お話としては自閉症を抱える主人公ウェンディがありったけのスタトレ知識を詰め込んだシナリオをL.Aのパラマウント社に持っていくまでのお話。

 

時代的には恐らく「宇宙大作戦」の頃のスタートレックを指しているとおもうので、

劇中のアメリカはどう見ても60年代という感じではないのですが、

まぁ、あまり細かいところは気にならないと思います。

時代的にもかなりあやふやな感じで描かれているし、

なるべくスマホとかがジェットは見せないようにした痕跡もあったので。

 

今作においては、主人公ウェンディの愛する「スタートレック」という作品が思わぬ協力者を得たり、自ら書き下ろしたシナリオのキャラクターが、作者のパーソナルな部分を込めたものとして成立させている部分が面白かったですね。

 

同じく、「作品のファンがある出来事をきっかけにドタバタを演じる」系コメディとして、『ファンボーイズ』がありますが、動機はともかく、

しょーーもない志でもって、なんとなくコメディの体を取っていた『ファンボーイズ』と比べても、キチンと愛した作品へのリスペクトをもって、自らの創作によって作品に答えようとする、ウェンディの姿勢は正しいオタクの像として好感が持てました。

 

登場人部の口からしか詳細は語られませんが、SF的な面白さも押さえていて、

「お前、もう作家やんけ」と思いましたよ。

 

劇中のウェンディだけは、他の登場人物に比べても服装や小物の色使いがカラフルで、

どこか他人とは違う所を拠り所にしているという、夢想の住人らしい配色も良かったです。

f:id:shin_tayo:20180917233348j:plain

ダコタの精神の不安定な”危うさ”を感じる表情と、人の目を見て話さない、という自閉症の特徴を良く捉えたいい芝居をしていました。

 

泣ける作品、というよりは「じんわり心にしみる系」の映画ではありますが、

DVD化の際には吹き替えでもう一度観たいと思った、そんな映画でした。