極私的偏愛映画①『サイン』という最高のカルト映画と超極私的偏愛ぶりについて

 

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『サイン』(2002)という映画をご存知だろうか。

 

いや、たとえご存知なくても、これからのみなさまの人生に

なんの影響も無いとハッキリ明言できるのでご安心いただきたい。

 

残念ながら、私はこの作品の駄目な部分、いい部分も含めて盲信しまくってしまっているので申し訳ないが、いましばし、この地獄にお付き合い頂けないだろうか。 

 

 

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サイン (映画) - Wikipedia

 

妻の事故死を境に牧師を辞めたグラハムは、弟のメリル、そして二人の子供達と静かに暮らしていた。しかしその家族の前に様々な兆候(サイン)が現れる。愛犬の暴走、畑に出現したミステリーサークル、家の周りに出没する姿の見えない謎の存在。そしてサインは世界各地に現れるようになった。はたしてサインは何を意味するのか。

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監督は今一番ハリウッドで”出たがり”で画面に映ると「正直鬱陶しいなぁ」という気分にさせてくれる、M・ナイト・シャマラン

 

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↑出たがりの怪しいインド人。立ち喰い師かな?

 

主演を務めたのはMADMAXな上に、のちにキリストをいたぶり尽くす映画を監督することになるメル・ギブソン

 

弓ノコを「ポイッ」と手渡してきそうなビジュアルに反して今作では敬虔なクリスチャンで元・牧師という設定。

 

 

かつては有望視されたマイナーリーグの強打手だった経歴をもつ弟をホアキン・フェニックスが務める。

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↑明らかにダメンズそうなホアキンと幼い兄弟たち。ホアキンはラッパーになったり、AIとセックスしたり、マリファナキメまくって元カノを探し回ったり、劇中での奇天烈さを極めることに対して余念が無いので、個人的に大好きだ。※ちなみに毒電波を防いでいます。

 

 

「なんだか役どころの振り分けに無理がねぇか」

 

とか考えてはいけないのである。四季折々の風物詩を楽しむが如く、

まず一週目素材の味を楽しむのがシャマラン映画の正しい楽しみ方だ。

 

 

どうあがいても面白いことになるしかない運命(さだめ)にありながら、

 

さて、どうしたことだろう。出来上がった肝心の本編は

お粗末」という概念を超え、

もはや『サイン』並みの快感は『サイン』でしか得られない という、

なんともいびつでありながら、業の深いフィルムとなってしまったのである。

 

 

とにかく劇中の描写出来事、オチに至るまで、呼吸をするように繰り出される、

伏線のような何かメジャーリーガーのノーラン・ライアンの剛速球が如くブン投げてくるあの感覚。

 

観ている瞬間はそれらに対して「」となりつつも、

 

結果「これで良かったのだ…」というほっこりした気持ちにさせてくれるのも、

『サイン』という珍妙なムービーでこそ、一部カルトな人気を誇る理由であると思う。

 

 

この映画のおかげで「私の人生観がガラリと変わった

とは言わないが、「世の中、物好きってのはいるもんだな

 

と思ったのは事実である。

 

しかしながら、『サイン』のダメダメさとは裏腹に、訴えかけるテーマとしては非常に現代的であり、どの一般家庭にも起こり得る、身につまされる問題ばかりである。

 

  • 水質汚染
  • メディア依存
  • 食生活のジャンクフード化、品質の信用問題(当時狂牛病などが話題だったことを思い出してほしい)
  • 周囲の人々とのコミュニケーション不全
  • 家族の関係性について
  • 主人公の神父を通した”信仰”について
  • 生と死について

 

ほら、なんだか高等な映画に思えてきたでしょう?

 

実際、タイトルにもなっている通り、”サイン”というのは劇中で登場するミステリーサークル犬の挙動に代表される、”エイリアン襲来の予兆”=”サイン”という謎かけの役割以上に、

 

劇中で多用されるキリスト教的モチーフ(十字架、復活、水)といった要素が、

主人公の神父の信仰の問題に対してのサイン神からのお告げ)という役割を果たしながらも、

 

「サイン(兆候)」を見逃してはならない

 

という、現実社会での諸問題を表すレトリックとして成立させているのである!

 

すごい!!

 

 

 

から!

 

色々とアレな数々も見逃してしまうのである!

 

 

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泣き演技が微妙なメルとか!

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この流れとか!

 

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ああ!もう!

 

 

 

余談ながら『サイン』に最大限のオマージュを捧げて作られたコメディ映画が存在する。

『ハッピーニート 落ちこぼれ兄弟の小さな奇跡』

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同じく、崩壊寸前の家族をモチーフにした今作は、

『サイン』を偏愛する30歳のニート

という、字面だけでもかなりキテる主人公が、元ネタと同じく終盤にかけて、

それまでの全てが”予兆”であったことに気がつき、家族の再生へと向かう

いい話系のコメディ作品となっている。

 

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それな。