感想『ザ・フォーリナー/復讐者』秒で悪党をボコる!虚無の表情のジャッキーがノー笑顔で繰り出す痛恨の一作。

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なんでか知りませんがね。今作が本国アメリカで公開されたのが2017年10月13日。

 

かれこれ、2年近くこっち(日本)は待たされたっつー、ね。

 

どういうこっちゃーねん、オオッ!?

 

ジャッキー映画が即観れないという憂き目に遭いながらも、どうにか鑑賞。

 

 

www.youtube.com

 

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クァン・ノク・ミン(ジャッキー・チェン)はロンドンでチャイニーズレストランを経営していたが、ある日娘のファンの送迎中、爆発テロに巻き込まれ目の前で娘の命を奪われてしまう。

その後、北アイルランド解放を謳う過激派組織が犯行声明を出す。クァンは、かつて過激派組織の活動家だったが現在は北アイルランド副首相となっているリーアム・ヘネシー(ピアース・プロスナン)とコンタクトを取り、犯人の名前を教えるようにリーアムに迫るが、リーアムは無関係を主張し、彼を帰してしまう。

しかし、クァンはベトナム戦争時代、アメリカの特殊部隊に所属していた優秀な工作員だった。

やがてクァンはリーアムを追跡するようになり、クァン、リーアムとその一派、過激派組織の三つ巴の戦いが始まっていく。

 

 

公開前から「死んだ目のジャッキーが悪党を一人また一人と始末していく、ヤバもんの映画」という眉唾の前評判を聞いていたので、

こりゃまた、『ジョン・ウィック』や『イコライザー』に並ぶ傑作来るかなぁと、

公開を今か、今かと待ちわびる日々。

 

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平成最後のベスト・オブ・虚無のマッコールさん

 

実際観てみると、悪党を問答無用でバッサバサと裁いて下ろすような痛快アクションというよりかは、

 

「筋の通らない世の中で一人、ジャッキーだけが、一人、筋を通そうとするあまり、対応をたらい回しにされ、持ち前のマーシャルアーツを爆発させ、腐った政治家に鉄槌を下す」

という、身に詰まる深刻なお話でした。

 

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そら、こんな顔にもなりますわな。

 

実際、ジャッキーを除く登場人物と言えば、過激派のIRAやら、叔母とハメることしか能に無いエリート軍人やら、裏切り、裏切られを繰り返すクズばかり。

 

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そら、こんな顔にもなりますわな。

 

 

今作は『新宿インシデント』以来、久々のジャッキーのシリアス路線の映画ではありますが、(同作では貴重なジャッキーのソフトな濡れ場が拝めます)

老体に鞭を打つどころの話ではない、ガチンコの動きをみせるジャッキーの”ランボー”的、格好良さが大きなみどころ。

 

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基本、ジャッキーの現代劇では、銃の存在は挨拶前の名刺みたいなもので、

大体途中で画面上からフェードアウトしてからは、素手純粋なボコり合いに突入しますが、

今作も大体そんな感じで、『エネミーライン』ばりの打撃、グラップル、仕掛け罠、起爆、なんでもござれの状態。

 

今作のジャッキーは元・特殊部隊の工作員という設定も相まってか、

カンフー映画時代の延長線90年代の出演作に比べ、

柔道を用いた投げ技からの寝技に持ち込んでの絞め技などのタクティカルな戦闘術が多く見受けられとても新鮮。悪党の始末方法も「殺す」というよりかは、ギリギリで生かして、失神させる事が多い。

 

特に、森林に潜んでのゲリラ戦闘に関しては、やや防戦一方な印象は否めないものの、

 

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「薮の中からジャッキー」というパーフェクトすぎる画が観れた時点で、なんだか鑑賞料の元が取れたような気がしたのは私だけでしょうか。

 

冒頭に述べた通り、今作は「不条理な世の中に、ひとり道理を突き立てんとするジャッキー」がなかば、ランボー的な精神疾患を伴いながらも、巨悪に立ち向かう映画ではありますが、すかっとする娯楽を求めると肩すかしを食らうかも。

 

ちなみに今作には原作が存在し、その名も「チャイナマン

 

劇中でも「くそチャイニーズが」を連呼されますが、

対する返事は言葉よりも爆薬か暴力」という、

アンチビジネスマン的な思想は憧れちゃいますよね。男として。