感想『アクアマン』海中ド迫力ファンタジー!凶暴な外人レスラーこと”モモアマン”凱旋の宴を目撃せよ

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巷で話題の『アクアマン』新宿にて公開初日にウォッチしてきました。

 

アメコミものではありますが、初見でも分かりやすく、万人でも存分に楽しめる内容になっていたので、ぜひともこれは布教せねばと妙な責任感に狩られる名作でございました。

 それではやっていきましょう。

 

 

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DCコミックス原作のヒーローで、「ジャスティス・リーグ」にも参戦したアクアマンを主役に描くアクション大作。海底に広がる巨大な帝国アトランティスを築いた海底人たちの王女を母に持ち、人間の血も引くアクアマンは、アーサー・カリーという名の人間として地上で育てられた。やがて、アトランティスが人類を征服しようと地上に攻め入り、アクアマンは、アトランティスとの戦いに身を投じていく。人気テレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」で知られるハワイ出身の俳優ジェイソン・モモアがタイトルロールのアクアマンを演じ、世界的大ヒットを記録した「ワイルド・スピード SKY MISSION」のジェームズ・ワン監督がメガホンをとった。共演にアンバー・ハードウィレム・デフォーニコール・キッドマンほか。

 

●アクアマンとは?●

 

DCコミック原作のヒーロー。半神半人のハーフにして海底王国アトランティスの王。

海洋で圧倒的な力を誇るアクアマンは水中で息をすることもでき、超速で泳ぐこともできる。海洋生物とテレパシーも出来るだけでなく、超怪力、超感覚に優れ、皮膚は通常の弾丸を易々と弾き返す頑丈さを有している。

勇気があり判断力に優れ、アトランティスの王座にふさわしい人物であることを証明したが、陸の者でも海の者でもあるアクアマンは両者の絶え間ない衝突の狭間で苦しみ、安住の地がない。

 

コスチュームが超絶ダサくてネタにされがち。

 

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風貌は時期によって様々ですが、基本的には”金髪の正統派イケ面”といった美青年ルックで描かれることが多い中、映画版のデザインは一時期のヒゲを蓄えた姿をモチーフとしている。

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長髪、髭、脳筋異世界の王にして超人…

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アベンジャーズ』のヒットを受けて「アクアマンは髭面のワイルド路線でいこう」という風潮が当時のDC内であったのか定かではありませんが、

ともあれアクアマン役に白羽の矢が立ったのは、元モデルにしてハワイの先住民族ドイツ系、アイルランド系、アメリカ州の先住民族 の血をひく、複雑すぎるの血のオーナーであるジェイソン・モモア

 

バットマンVSスーパーマンジャスティスの誕生~』にてアクアマンとしてのデビューを飾る以前から、洋画、洋ドラマにてジワジワと人気が出始めていた彼。

現在は「モモアマン」の通称で親しまれる人気俳優となりましたが、詳細は後述。

 

●作品の出来栄え●

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いやぁ、率直に面白かった。

 

公式の「海中ド迫力エンターテインメント」の謳い文句に恥じぬ、「これぞエンタメ」といった会心の出来栄えとなっておりました。

 

そもそもからして、正式な能力やコスチューム姿のお披露目となった前作、『ジャスティス・リーグ』での水中を自由に泳ぎ回る様や、ジェイソン・モモア演じる”アーサー・カリー”のファンキーさや、お茶目なおじ様の魅力がスパークしていたことから、筆者はもう、今作の『アクアマン』が楽しみで楽しみで。

 

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このシーンのホワイトストライプス「Icky Thump」の使い方、めっちゃカッコよくないですか?

「アクアマンはメタル」ジェイソン・モモア、TOOLやメタリカなどメタルバンドからの影響を公言 | THE RIVER

 

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フルCGとはいえ、”動くクリスチャン・ラッセン”成分の強い壮麗なビジュアルは勿論、ジェームズ・ワン監督お得意の変幻自在のカメラワーク、現在のハリウッドにおいて最高のパフォーマンスを発揮し続けてる、名スタントチーム「87eleven Action Design」による嗜好のアクションなど見所は多く、

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至高のサメ映画としても、サメ映画ファンは見逃せませんよね(圧迫)

 

筆者の一度目の鑑賞時は2D字幕にての鑑賞となりましたが、画面への没入感やサウンドデザインを最大限に楽しむには、

3D/IMAX(吹き替え)での鑑賞を推奨したくなる、見ごたえ満点の一作となっております。

 

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はい、100点

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水中アクションということで、ゆったりした動きからの急速なアクションも心地よいし、実際に役者をワイヤーで吊り上げたり、クレーンに繋げたりすることによって得られる浮遊感も、フルCGよりも現実味のあるアクションとしての効果を上げているかと。

 

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今作のサウンドトラックを手がけるのは名匠ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ実弟にして、音楽家ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ

DCコミック映画は『ワンダーウーマン』に続き2本目の参加となりますが、オーケストラによる壮大さと、水流を思わせる浮遊感のある電子音に加えて、アクアマンのテーマともなっている「デレレレ~、ド~ン♪」というワイルドなギターリフの挿入によるトラックは今作の雰囲気を大いに盛り上げてくれます。

 

筆者的にはメインテーマである「Arthur」と、冒頭の潜水艦内での戦闘曲である「Permission To Come Aboard」がオススメ。アクション映画らしく聴き応えある秀曲。

 

●キャラクターと物語について●

 

今作の大筋となってくるのは、人間の暮らす地上界の傍若無人な振る舞いに対し、日々憎悪を募らせる海底王国アトランティスの王にして、アーサーの腹違いの実弟オーム王による地上侵略の野望を阻止すべく奔走するアーサーと相棒メラ王女のコンビによる大冒険。

同時に、半神半人であるアーサーの出自を巡り、危うく地球を水没しかけるほどに悪化した家族関係を描いたハタ迷惑で壮大な山田洋二的家族ドラマでもあります。家族はつらいよ。

 

 

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主人公であるアーサー・カリーことモモアマン野獣みと愛嬌の塊のような男で、本能的なオスの部分をガンガン刺激してくる。

 

演じるジェイソン・モモアの魅力で今作の60%は成り立っていると言っても過言でない。原作通りの超ダサいコスチュームを恥ずかしげもなく着用することで、一週回って超カッコいいのもグーですし、

獲物である槍さばきも実に見事で、ただ振り回すだけでなく持つ部分を変えて近距離、遠距離に対応した動きを見せるのもアクションとしてグーですね。グー。

 

 

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今作の嫁候補にしてプリンセスのメラ王女を演じるアンバー・ハードジョニー・デップとのドロッドロな離婚劇を繰り広げたり、ヌード写真が流出した後とは思えないくらいの嫁みの権化として登場。

ケツみたいなおっぱいをはじめ、ツンデレ属性もちの王女という、まかり間違えばオーク族のチンコの餌食となっていてもおかしくない設定の持ち主ながら、この映画では実質最強の能力者

赤毛の女はイカれてる」という名言にして真理の由来になったお方。

今年度、最高の赤毛キャラが早くも決定した感はありますね。

 

 

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黒塗りの鎧に仕込み刃、トレードマークである巨大な頭部と赤い目という素敵すぎるデザインで全国の男子たちの中二心をガンガン刺激する最高のルックスのオーナー。「映画を観たらめっちゃフィギュアが欲しくなる男ブラック・マンタ君。

 

これからアクアマンが人助けをすればするほど、彼との溝は深まるばかりという古今東西における最高の好敵手の資質を持ちながらも、ヤンデレのストーカーみたいな言い分で襲い掛かってくる姿が泣ける。海底帝国から頂戴したレーザー銃を迷うことなく顔に仕込むという男のDIY心を分かりすぎているキャラクター

何があろうと筆者は彼を応援せざるを得ません。

 

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クリス・パインに運転手としてコキ使われたりジェームズ・ワン監督には『死霊館』や『インシディアス』で悪霊と強制ファイトさせられまくっている感のあるパトリック・ウィルソンは駄々っこ気質のオーム王ことオーシャン・マスターとして出演。

 

本業であるナイトオウルをほっぽり出して、表情で形状がグニャグニャ変わる奇怪なマスクを着用しての登場。

 

 

今作の美点でもあるところですが、一応のヴィランとしての悪役は登場するのですが、

それも物語の進行上としての悪役って感じで、そもそも人類が水質汚染とかで海を汚しまくるのがオーム王の逆鱗に触れるっていうのが発端なので、総じて人類が悪いことになりそうなんですが、彼らも彼らなりに無慈悲に人を殺めてくれるので、「畜生~!」とは思わずとも、アクアマンにブッ飛ばされるとほどほどにスッキリするという、スケープゴートみたいな悪役を文句の一つも言わずに演じ切ってくれています。

 

アクアマンもあまりウジウジと自らの出自について悩むこともないですし、

すぐに俯いたりウジウジ悩む傾向を「ダーク」と呼んではばからなかったDC映画において、アクアマンの快活さは、得てしてマーベル映画のような見易さをもたらしたし、

人々に元気と勇気を与えるヒーロー映画」に回帰することで、DC自体が暗雲を脱出した感はありますね。

 

ほぼ同年に公開となった『バーフバリ』や『ブラックパンサー』と同じく、

一人の男が王になる過程を描いた作品ではありますが、英雄譚としての完成度は正直バーフバリ王に軍配が上がるものの、

実質もうモモアマンと呼んで差し支えないくらい映画内外に関わらず、彼自身のキャラクターが親しまれることが映画にとっての勝利と言っても過言ではないのではないでしょうか。

なにより、会話シーケンスに入ったかと思ったら、

グダグダ喋ってんじゃねぇ」と言わんばかりに、誰かしらがアクションシーンをねじ込んでくる作りになっているのには、非常に好感が持てましたね。

 

残る不満としては、散々メラや母ちゃんから、王になって国だけを守るよりも、ヒーローになってあまねく人々を救う道もあると示唆されていたのに、最後には「楽しそうだし、王になるぜイェーイ」みたいな感じで収まってしまった感があって残念。

統治は母に任せて、アウトローとして活躍するとかで良かったんじゃあないかな。

「彼こそ王」

「俺は王じゃない。アクアマンだ」

っていうやり取りを期待した分、ちょっと拍子抜けでしたね。まぁ、いいけど。

 

●モモアマンという男●

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今作のタイトルロールでもあるアクアマンを演じる、ジェイソン・モモア

ジャスティス・リーグ」での出演を皮切りに、ネット上ではいつのまにか彼を”モモアマン”と呼ぶようになりました。

 

これ、凄くないですか?

どんなにヒットしたヒーローでも、名前の末尾に「マン」が付いて親しまれることって早々ないですよ。

 

個人的にアクアマンは混血のハーフという生い立ちや、愉快な大酒飲みの筋肉マンというモモア自身と共通する資質も含めて、アクアマンというキャラクターそのもの、ひいてはこの映画の雰囲気そのものに大いなる恩恵を与えていると思いますよ。

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体はともかく、腕の鱗っぽいタトゥーは地ですからね。

もうアクアマンという役になるべくして生まれてきたような男でしょう。

 

まぁ、とりあえずスーパーマンであるヘンリー・カヴィルに忍び寄って大しゅきハグをかますモモアマン、『アクアマン』のプロモーションで絶対壊しちゃいけないはずの三又槍を容赦なくヘシ折るモモアマンを見てほしい。

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こっちは『ジャスティス・リーグ』のプロモでコミコン会場を訪れていたモモアマンによる大暴れの瞬間を捉えた写真である。

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モモアを見ていると、かつて日本のプロレス界において、凶暴な外人レスラー枠として猛威を振るった一人の男を思い出す。

 

そう、ブルーザー・ブロディである。

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たっぷりと蓄えた髭に、大柄の体躯パワフルなアクションを見ていると、筆者はどうしても彼のことを思い出してしまうのですが、

モモアマン自身は至ってチャーミングで人なつっこい性格として知られており、

彼について調べれば調べるほど、

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この蛮族のような見た目を持ちながら、最強に可愛らしい生物ブロディ+ハローキティのハイブリッドみたいな存在に益々混乱するばかり。

 

 

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とりあえずモモアマンがみてぇよ!というお手軽モモアをご所望な方のためにいくつか作品を推させて頂くなら、

 

コナン・ザ・バーバリアン(2011)』

まだ味付けのされていない、自然の味そのままのモモアや、

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『バレット(2012)』にて、

あのスタローンとの共演。実にウォルター・ヒル監督らしい、男同士の斧による一騎打ちバトルが堪能できる珠玉の名作となっており、

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終始、イイ奴なのかやべー奴なのか判別の難しい役柄を演じたNETFLIX配信の映画、『マッドタウン』も強くオススメしたい。

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モモアマンを一気にスターダムに押し上げたドラマゲーム・オブ・スローンズは勿論ですが、個人的なベスト・モモアミング賞を差し上げたいのは、

 

同じくNETFLIX配信の連続テレビシリーズ『フロンティア』だ。

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今作は”モモア版『レヴェナント~蘇りし者~』のようなテイストの作品となっているが、最大の魅力であるモモアのスタジオジブリ感漂う蛮族感もさることながら、

アクション俳優としてのアクションの素質を完全開花させた一作であり、手斧さばきひとつとってみても、決して見飽きることがない。

 

最後に、モモアの公式Youtubeチャンネルをご紹介させて貰いたい。

ボディーガードや取り巻き連中と世界各地に出没して、キャッキャとはしゃぎながらビールを飲み散らかしたりする様子や、『アクアマン』のプロモでマオリ族伝統のダンス、ハカを披露する様子が記録されているので必見だ。

 

 

 

 

もう、『アクアマン』というより、実質モモアマン推しの記事になってしまったのだが、この際、良しとする。

 

一人でも彼のファンが増えることを祈って。

 

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