極私的偏愛映画『スモールソルジャーズ』”男児の夢”全部乗せ。

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観てしまったが最後、現在に至るまで心を捉えて離さない。

そういった映画は誰しにも在ると思う。俗に言う”オールタイムベスト”というやつだ。

 

特に、年数を経て段々と作品の良さが分かるようになった頃に観返すものに比べて、

やっぱり幼少期に観て興奮したりショッキングだったものは中々忘れ難いものである。

 

今作『スモールソルジャーズ(1998)』も、『サイン』や『ミニミニ大作戦』といった、およそ”オールタイムベスト”扱いでTSUTAYAの棚には並び辛いが、僕個人の胸の内では、未だに光り輝く傑作といっていい。

 

 

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お話は至って単純で、

「巨大企業グロボテック社の軍事産業輸出用のマイクロチップがノータリンなシステムエンジニアの手によって新商品のアクションフィギュアに組み込まれて出荷されてしまう。

ひょんなことから、流通前のフィギュアをこっそり自宅のオモチャ屋で取り扱うことになった少年だったが、やがて、フィギュア達にAIが搭載されていることを知り、心優しいがフィギュア軍団”ゴーゴナイト”たちと心を通わせていく。

 

だが、オモチャの設定上の敵として作られ、ツワモノ中のツワモノを集めたエリート兵隊フィギュア軍団”コマンドーエリート”の激しい追撃の最中、ついに戦いの火蓋が切って落とされ、平和だった住宅街がさながら戦場と化してゆくのだった…」

 

というもの。

 

今作の僅か3年前に『トイストーリー(1995)』が公開された経緯を考えると、明らかな二番煎じと言える企画である。(実際にどこまで参考にしたか不明だが)

あちらが当時最高といえるCG技術をフルに用いた作品であったのに対し、

こちらはCGによる表現は行いつつも、実際のアクションフィギュアを最新のアニマトロティクス技術を駆使し、文楽人形のように操ることで、”命を吹き込まれたオモチャ”という設定に説得力を与えている。

 

今作を監督したのはジョー・ダンテ

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フィルモグラフィーとしてはさほど多くは無いが、代表作となった『グレムリン』、『グレムリン2_新・種・誕・生』は今だにカルト的人気を誇る傑作であり、

なにより今作も『グレムリン』もハリウッド特殊効果の巨匠、スタン・ウィンストン率いるチームのバックアップを得て実現している。

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氏らの仕事ぶりは『ジュラシック・パーク』『ターミネーター』をご覧頂ければ分かるだろう。業界内でも折り紙つきの実力者グループの確かな実力に支えられ、

『スモールソルジャーズ』もまた、”二番煎じ”と切り捨ててしまうにはもったいないくらいの人体破壊バイオレンス描写の秀逸さ、手作りの味わい深さ、なにより、クールなフィギュアたちのデザイン、どれをとっても今だに色褪せない。

 

今作の魅力はそうした”ハイテクなローテク”に基づく、フィギュア達の実在感、スクリーンの中に感じる、確かな存在感に支えられている。

 

 

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特に敵側であるコマンドーエリート”のデザインは秀逸で、ひと目で正確や得意分野が想像できるルックス、フィギュアとしてのまとまりの良さ、どこを切り取っても素晴らしいのだが、当時、商品化されたのはごく僅かなキャラクターのみで、流通も限られていた。実際に撮影で使われたレプリカは既に多くが落札者の手に渡ってしまっており、

中古車並みの価格で取引されているのを、ただ指を咥えて見ているだけであった。

 

なので、現在の技術で再・商品化を今なお一人叫び続けている

 

 

前述のとおり今作のゴア描写は他の和気藹々としたおもちゃがテーマの作品群とは明らかに一線を引いており、

(動画が無いのだが)爆発物処理担当ニック・ニトロの台所ファイトにおけるディスポーザーによる下半身粉砕シーン、脳筋担当ブリック・バズーカの自転車後輪で下半身がバラバラになるシーンなど、やたらと下半身を責め立てるゴアシーンが印象的だ。

 

しかしながら、どれもおもちゃの負傷なので、流血は一切無く、むしろ清清しい位ミンチとなってバッタバタと人が死んでいく。 

追加戦士枠で、ヒロインの部屋にあったバービー人形が毛髪を抜きとられた奇形のアマゾネス集団に改造されるシーンはトラウマ。

 

そういえば、草刈機で狂気の笑みを浮かべながら軒いるコマンドーエリートたちを伐採し、魔改造バービーガールズをゴルフクラブで滅多打ちにしていたヒロインは、若かりしキルスティン・ダンストであった。

 

強いヒロインは最高。

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自分たちがオモチャであることは認識しつつも、高性能AIにより”自分たちは軍隊である”と脳に叩き込まれているせいで、いちいち軍隊様式に則った所作や、軽口やジョーに至るまで、軍人ぽさが徹底されており、総じて戦争映画の高度なパロディとなっている。

 

特に地獄の黙示録フルメタルジャケットの色が濃厚。

 

(コマンドー・エリート側に死傷者が出た際の葬儀などまさにソレで、

Nini Rosso(ニニ・ロッソ)の『Il Silenzio』(『夜空のトランペット』)風味の音楽が流れたりする)

 

全力で”戦争”をしようとし、全力で体を張っている様も、

全ては”オモチャのやっていること”となっているので、何をやろうと「憎めない敵役」といったキャラクター造詣として落ち着いている。

 

そもそも、本来ならばコマンドエリートは劇中の設定通り、モンスターを狩る精鋭チームなのだから、正義側でしかるべきところだが、あえて立場を逆転させることで、若干右派を皮肉ったような笑いに転換させ、化け物チームでありながら、平和主義者であるゴーゴナイトを立てることで、総じてリベラルな印象に転じているところが見事である。

 

オチのグロボテック社の社長が登場し、騒動の責任を全て小切手一枚で片付けていく様などは、さながらバーホーベン映画のようなブラックさ。

 

今作はあくまでもコアな映画ファン向けではなく、ある程度のファミリー層へ向けて制作されたR指定のない万人向けの映画であるが、

エンディングも含め、どこか毒気のあるブラックジョークを盛り合わせつつも、

職人芸の集大成ともいえる手作りの映画の良さをフラッシュバックさせてくれる。

 

 

 

 

 

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