『トランスフォーマー』シリーズ凍結と『トランスフォーマー(2007)』を観返して感じたこと

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つい先日、トランスフォーマー実写版のシリーズ最新作となる、『バンブルビー』の予告編が公開されました。

……と同時に「やっぱりかー…」と感じざるを得ない、悲しいニュースも。

 

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車が人型のロボットに変形する」という原作の玩具シリーズが本来持つオモチャ的な楽しさを取り戻しつつ、レトロな雰囲気を感じることの出来る仕上がりとなっている。

 

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時代設定を1980年代に巻き戻し、実写版第1作目に回帰したような”ジュブナイル”の要素をふんだんに取り込んだ、地球に現れた金属生命体と少女との出会いのストーリーになるとのこと。(ビーがG1オマージュでビートルの姿をしているのも、ファンには嬉しいところ)

 

新作の告知に喜びつつも、かねてより暗雲が立ち込めていた本筋たる『トランスフォーマー』シリーズにおける悲しいニュースも。

 

theriver.jp

 

2007年からスタートしてかれこれ10年間、全作を劇場でいの一番で観続けてきた身としては身の詰まる悲報となってしまったが、

逆に10年間、このシリーズを追い続けて観たが故に「やっぱりな」といった思いがないわけでもない。

 

大ヒット作となった第1作目の『トランスフォーマー(2007)』公開時から、大なり小なりの批判に晒されてきたわけだが、なんだかんだで店頭に並ぶ度に飛ぶように売れるフィギュアや、もはや特殊すぎて「ベイヘム」というジャンルを確立してしまったCM上がりの巨匠、マイケル・ベイが手がける、

「ありえない大爆破」

「有無を言わさず、飛び交う弾薬」

「気持ち良いほどの勧善懲悪」

などの、”超”がつくほどのブロックバスターらしい大味な魅力に支えられ、

この10年あまりをしのぎきってきたものの、

結局のところ、長期シリーズにありがちな物語上の「不整合」や「ネタ切れ」のるつぼに落ち込み、観客からそっぽを向かれてしまったゆえの凍結なのだろうと思います。

 

今となっては、第2作目までメインヒロインとして活躍していたミーガン・フォックスマイケル・ベイに対する「ベイはヒトラー」発言からの降板劇あたりから、徐々にシリーズとしての歯車が狂い始めたようにも思える。

 

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映画製作としての顛末はどうあれ、「変形玩具の実写化」という無茶振りに思えるプロジェクトから始まった今シリーズが最早、監督であるマイケル・ベイの中で「トランスフォーム」すること以上に、「壮大な神話として物語を語る」という方面にシフトし始めてしまった『トランスフォーマー ロストエイジ(2014)

からやたらと甲冑じみたデザインになったり、トランスフォーマーたちが来た時代や裏設定が曖昧になり始めたり、「正義」対「悪」という単純な図式から、機械生命体の「創造主」との対立へと物語が発展し、ある種の『プロメテウス』的なギリシャ神話の様相を呈してきた時点で、今シリーズが引き返し不可な段階にまで来てしまっている事を実感した。

 

特に『トランスフォーマー 最後の騎士王(2018)』の終盤の見せ場である、大スペクタクルシーンで居眠りをこいてしまった手前、正直「このシリーズももう限界だな」とスクリーン上での「異常事態」に慣れてしまっている自分にも辟易したものだ。

 

前置きが長くなったが、一度ケチがついて「オワコン化」しつつあるところで、

あえて時代を振り返り、実写『トランスフォーマー』シリーズが残した足跡を辿りつつ、その功績を大いに称えようではないかというのが本記事の目論見である。

 

以下、長文になるものの、『トランスフォーマー』を初めて目にした時の衝撃がいかほどのものだったか。少しでも読み応えのある記事にしようと善処した結果でありますので、ご容赦頂きたく…

 

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◆1作目の公開と胸躍った高校生時代◆

 

記念すべき第1作目となる『トランスフォーマー』が日本公開されたのは忘れもしない2007年の7月25日。いわゆる大安での休日興行となった公開初日。

 

当時、まだ中央区の築地に居があったこともあり、近場の有楽町マリオン6F松竹ピカデリーのJ列14番目のチケット(まだ大事に取っていたりする)を手に、上映までの時間を胸躍らせ待ちかねていた記憶が蘇る。

 

館内では当時ワーナーとのメジャー契約を結んだばかりのMute Math(ミュートマス)による、”トランスフォーマーのテーマ”のカバーがリピートで流れており、それがきっかけで一時期Mute Mathにドハマリしたのが懐かしい。

 


館内の照明が落ち、スクリーンの幕が上がると同時に、館内に「ツァラトゥストラはかく語りき」がこだまする。

当時の松竹ピカデリーでは上映前にこの曲が流れるのが定番だったのだ。(今もそうかは知らない)

 

一通りの新作予告も流れ尽くし映画泥棒も去ったところで製作のドリームワークス&パラマウントのロゴが現れる。しかし、音がなんだか違う。

耳慣れないボボボボ…という音と共にいつものパラマンウト社の星々が飛んでくる。

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僅かな暗転の後、シリーズ開始当時からコンボイ司令官ことオプティマス・プライムの声優を務めて続けているピーター・カレンによるイケボによって本作の鍵となる”キューブ”と”機械生命体”の生い立ちが語られる。

 

そしてこれ↑が、恐らく全世界のトランスフォーマーファンがド肝を抜かれることになった、開始5分足らずで描かれる、敵性トランスフォーマーディセプティコン”航空兵力

”ブラックアウト”によるカタール米軍基地壊滅のシーンである。

 

正体不明機をレーダーで捉えた所から始まり、ある兵士の供述により不明機は過去に戦闘により爆撃、墜落していることが判明する。

 

じゃあ、この機体は一体なんだんだ?

 

と、戸惑いに包まれるカタール基地だったが、味方機を無闇に攻撃するわけにもいかず、やむなく基地への侵入を許してしまう。

(該当機の確認上で「亡くなった友人が乗っていたので間違いありません」という返しもなかなかヒネリが効いていて良い)

 

なお、ここに至るまでで、まだ”トランスフォーマー”はスクリーン上に姿を現しておらず、このブラックアウトの大破壊シーンが初の登場となる。

観客も含め、まだ”トランスフォーマー”というものがどういった存在なのか、

捉えきれずにいる最中でのこの大立ち回りである。

 

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「乗用車やバスなどの見慣れた車両から、戦争でしかお目にかかれないような兵器群がガシャガシャと膨大なパーツとなって、人型に組み上がる快感」

を映像化してしまった時点で、この映画がどう転んでも歴史的に意味のあるものになった。と確信した貴重かつ濃密な5分である。

 

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◆多くの賛否を生み出したキモカッコイイ系実写TFの魅力◆

 

登場するトランスフォーマーのデザインに関しては、原典であるブロックトイの延長ような所謂、ロボットらしい面構成によるボディラインを廃し、

複雑に噛み合った”数万個に及ぶパーツの集合体”であることを強調されたデザインには、最初こそ拒否反応に似た感情で迎えざるを得なかったものの、徐々に解禁されるコンセプトアートを眺めるうちに「こいつらがどうスクリーンで動き回るのだろう」という期待感へと転化していったのである。

 

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すぐさま賛否両論を巻き起こしたデザインではあるが、明らかにそれまで見たことのないものが現れてしまったという衝撃は今なお、他作品でも”『トランスフォーマー』以前と以後”でパッキリとその影響を感じ取れるくらいには爪痕を残したのだろうと思う。

かつ、ロボット生命体の異形と正統派のギリギリの境界線でせめぎ合いながらも、結果的に純粋なカッコよさを捨てきらずにデザインをまとめ上げた偉業には心から賛辞を送りたい。

特にディセプティコン側のデザインは突出して素晴らしくオートボット側はオプティマスのお馴染みのフェイスガードやジャズのバイザーに見られる、正統派のロボットらしいカッコよさを感じることが出来る一方、スタースクリームなどは最早、暴走した冒険心の産物のような仕上がりになっており、パトカーでありながら敵勢力という矛盾を抱えたバリケードと並んで、一作目で好きなデザインである。

 

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◆人ならざる金属生命体ならではのありえないモーション◆

 

 1作目や2作目に顕著に見られる傾向として、トランスフォーマーの殺陣や振り付けに関して、かなり人間離れした動きをさせていることが挙げられる。

 

特に1作目に関しては「やたらと転がる」「無駄に一回転する」「落ち着かないその場足踏みが多い」「サル目科のようにスルスルと高所へ上っていく」「負傷を厭わない特攻」など、我々とは異なる生活体系で培った異星からの来訪者らしい、見た目に反した軽やかさが目立つ振り付けとなっている。

特に好きなのは小型のトランスフォーマーであるジャズの市街地戦闘における、ブロウル討伐の下りでみせる動き(1:45~)

 

ビークル形態からの慣性を残したまま跳躍→砲塔によじ登り弾道を逸らしつつ、死角である後方に回り込みながら、バックポッドを破壊

 

には、当時劇場でただただ呆然としながら眺めておりました

 

やたらと中学生並みな下ネタを繰り出し、カットや物語の整合性に、高々と中指を立てて見せた今シリーズ。

批評的にはかなり地の底を這うような評判ですが、当時を知る身としては、確かに良識を超えた、熱狂をもって蘇ったシリーズであった、と声を大にして掲げたい。

 

余談になりますが、監督のマイケル・ベイは、持ち味である大規模な爆破シーンやカークラッシュ描写の多用にあやかり、敵側の親玉であるメガトロンの通り名「破壊大帝」の異名を欲しいままにしていますが、実は、ベイは養子として幼少期を過ごしたそうで、母親からは「実の父親はジョン・フランケンハイマーなのよ」と聞かされていたそう。

 

ジョン・フランケンハイマーとは、『RONIN』や『グランプリ』といった、骨太アクション映画を生涯に渡って撮り続けた人物であり、フランケンハイマーが実父であることを疑わなかったベイは、DNA鑑定を本人に迫るくらい強く影響を受けていたことを語っています。

残念ながらフランケンハイマーは2002年に亡くなってしまいますが、

ベイがカーアクション映画に対して強い思い入れを持って取り組んだいた事は、今作でのカーアクションを観ても明らかで、舐めるようなカメラワークや大規模爆破も相まって、めちゃめちゃカッコよく車が映える結果となっているように思えます。

まさにベイにとっても出会うべくして出会ったシリーズだった、ということですね。

 

下記は公開前にアメフトのスーパーボウルにて公開された特別クリップ。

クソカッコいい。


 

◆怒涛のトイリリースラッシュ 磨り減る小遣いと多々買いの日々◆

 

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映画に先駆けて、オートボットディセプティコン両雄、

リーダークラスボイジャークラスデラックスクラスと、大中小それぞれのスケールで表現されたフィギュアシリーズとして発売。計10体をゆうに超えるフィギュアがラインナップされました。

 

当時、都内のトイザラスでは整理券配布制の争奪戦が繰り広げられるほどの人気ぶりで、中でも主人公であるリーダークラスのオプティマスプライムを差し置いて、1,2を争う人気だったのは、

デラックスクラスのバンブルビー(ニューカマロVer)でした。

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あれから10年の時が経ち、バンブルビーの商品もこち亀コラでネタにされるくらい、

出揃った感がありますが、当時は本当にどこの店を回っても在庫切れで、

中古ブレード無しの状態でようやく入手したのを覚えています。

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とはいえ、『ビーストウォーズ セカンド』以来、久々のTFトイとなったわけですが、初めてバンブルビー(旧カマロVer)を手にした時の衝撃ときたら。

 

リ、リアの変形に連動して、足が出来上がる…だと!?

 

手動で変形させるプロセスの中に、巧妙に歯車を配置することによって、

まるで劇中さながらの自動変形を行っているかのような巧みなパーツ配置。

 

ビークルモードに変形した際のカーモデルとしての完成度カッチリとした各パーツのフィット感

とにかく、当時としては2,000円前後でデラックスクラスは買えましたから、

 

「この価格帯でこのクオリティ…ッッ!!!!!!~~~~~~~」

とのた打ち回って感銘するばかりで御座いました。

 

変形の妙味もさることながら、複雑なデザインをどうにか手のひらサイズのお手ごろ価格の変形現具に落とし込んだ当時からのタカラトミーの設計者には、

本当に頭が下がる思いでしたし、

なんだか「オモチャにできるもんならやってみろ」というデザイナーの口上に対して、

「渾身の手仕事で応じてみせる」という熱い展開を想像して燃えましたね。

 

 

第二作目となった『トランスフォーマー リベンジ』の際には約1年越しのチャレンジとして1作目玩具で出来なかったギミックを導入した同キャラクターのリメイク玩具が登場。

 

もうお兄ちゃんの財布死んじゃう…

 

的な状況に追い込まれつつも、現具シリーズとしての実写『トランスフォーマー』シリーズはここで完全な芳醇の時を迎えるわけです。……が、

 

急激な原油価格の高騰という世界状況によって予期せぬ大打撃を被ることになります。

 

具体的なところを挙げると、「商品の金型を使い回し、塗装と一部造形を変更したたリデコ商品の乱発」「複雑になりそうな所が金型の制限により、一体化を余儀なくされるパーツ構成」など、当時のフィギュア王による開発者インタビューにおいても、

当時を振り返って「(原油価格の上昇が)なければ、もっと色々と盛り込みたいギミックがあったのに」という雪辱について語っています。

 

特にリベンジシリーズで登場したオプティマスプライムの玩具は、1作目のリーダークラスと比較しても、劇中のスタイルを再現した、ほぼ完成形と言って差し支えないくらいの完成度で、

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劇中における両手ブレードを駆使した「司令官無双」のカッコよさの後押しもあり、

その年で最も売れた玩具として記録されているとかいないとか…

 

ちなみに、こちらは3作目『ダークサイド・ムーン』の際には「ストライカオプティマスプライム」としておおよそ正義の味方らしくない、恐ろしい見た目になって再販されました。

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それからも第4作目となる『ロストエイジ』から最新作となる『最後の騎士王』にいたるまでで、新作トイや大人向けシリーズである”ムービーマスターピース”シリーズで、

常に新作を出し続けてきた今シリーズですが、

肝心の映画本編ではダイナボットなどの新キャラ、メガトロンなどのメインキャラはかろうじて完全新作の造形としてリリースこそされましたが、

1作目や2作目の「多々買わなければ生き残れない!」という熱狂はどこへやら。

 

大手電化製品のおもちゃコーナーでも在庫切れを起こすほどの勢いは失っていきました。

 

原因としては上述の原油価格によって、全盛時に比べややチープな仕上がりとなってしまったことや、デザインバリエーションが豊かだった1作目、2作目に対して、敵対勢力であるディセプティコン劇中デザインやCGIに流用が目立ち、「揃えて対決させて遊ぶ」というコレクション心理に影響が出てしまったこと、モチーフが何だか分からないデザインが増えたため、AがBになるという変形の醍醐味を失っていった為、

 

など、色々要因は挙げられますが、

 

ひとえにマイケル・ベイがやたらとキャラを殺しまくった結果、入れ替わりで魅力的なキャラクターを配置、運用できなかったことが、玩具シリーズとしての決定的な終焉の瞬間ではなかったろうか、と見ています。

 

(唯一、魅力的だった『ロストエイジ』のロックダウンもちょっとゆるめな造形

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でも、『最後の騎士王』のボイジャーメガトロンは傑作だったり…

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◆再起動したTFムービーシリーズ これこそリベンジ。タカトミの倍返しだ!◆

 

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ところが、タカラトミーは来る2018年2月に、新機軸となる”スタジオシリーズ”の始動を発表。

映画に登場したキャラクターを完全新規造形&ロボットモード時のスケール統一デザインでリリースするというコンセプト。

 

「えっ、ぼくんちグリムロックと違う…」

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んほぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!カァッコイイイイイイ!!!!

 

 

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んおおおおおおおおおおおおおお!!!!ブラックアウトォォォォ!!!

でるのおおおおおお!!ほちいいいいいいいい!!!!!

 

で、プレ値で即購入というね……

 

 

俺たちの多々買いはこれからだ!!!

 

 

 

 

~~追記~~

 

ふつかよいでめがとろーん/

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んっんんんんんんんんんんああああああああああああああああおおおおおおおおお!!!!!!!(歓喜

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