極私的偏愛映画⑰ ”アル・ヤンコビック”の『パロディ放送局UHF』 ナンセンス上等。理不尽ギャグのお通りだ
今回、紹介する作品も国内未DVD化の曰く付きだよ。
Mother Fuckerが。
日本の洋画業界も”吹き替えの帝王”とか、何度も発売されてるようなもんチマチマ再生産してないで、こういうのを思い切ってDVD化してくれよと思う。
中坊の時に、東陽町に住んでいた斉藤くん家で死ぬほど真似して、携帯でショートコントを100本近く撮り溜めるキッカケになった、自分にとっては墓に持って入りたいほど好きなコメディ映画です。
『パロディ放送局UHFとは』？
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マイケル・ジャクソンのパロディ『イート・イット』等で知られるＡ・ヤンコヴィック主演によるコメディ。空想好きが災いして仕事をクビになったジョージは、叔父がポーカーで手に入れた倒産寸前のＵＨＦ局62ｃｈの運営を任される事になる。
あの手この手でがんばったが視聴率は伸びず、彼女にもふられてヤケになったジョージは、メジャー局をクビになった掃除人スタンリーを子供番組の司会にした所、思わぬ大ヒットとなり一気に視聴率トップの座に。しかし、UHFを良く思わない悪賢いメジャー局プロデューサーのフレッチャーの企みで、期日までに５万ドル支払わないと局を手放さねばならない事になり……。
あらすじからして、バカ面白そうな予感しかしないのだが、アル・ヤンコビック自体が面白おじさんだから、まぁしょうがないかな。次行こう。
・アル・ヤンコビックとかいう天才
減退した子門真人みたいなビジュアルだが、れっきとしたコメディアン兼ミュージシャンだ。『裸の銃をもつ男』なんかで本人役として見れるぞ。
基本的にはナンセンスとオフビートで攻めて攻めて、攻めまくるのがアルの基本戦法となるが、いかんせん、人によっては外しまくってる印象を抱くかもしれない。
逆にハマると抜け出せなくなります。
こちらがジョジョ3部でおなじみ、『今夜はイート・イット』
- provided courtesy of iTunes
Just eat it! Eat it!
Get yourself an egg and beat it!
Have some more chicken. Have some more pie
It doesn't matter if it's boiled or fried
ただ、食べるんだ！食べるんだ！
自分の玉子を取って、逃げるんだ
もっとチキンを食べて、もっとパイを食べるんだ
ゆでたか揚げたかなんか問題じゃない
歌詞がまぁ、バカくせーのなんの。
基本的には嘉門達夫的な替え歌おじさんとしてのポジションを確立しているアルだが、
今作はそうしたアルの外れまくった頭のネジっぷりを存分に堪能できる一作となっている。ちはみに監督はジェイ・レヴィで、アルは共同脚本と主演を務める。
…ん？ジェイ・レヴィ？
『爆走サンダーラン』の？
・楽しい仲間たち
今作のイカれたメンバーを紹介するぜ！
ジョージ・ニューマン
今作の主人公にして、我らが62チャンネルの局長。常に妄想に苛まれて仕事が手に付かないという末期患者で、デフォルトでガイキチというクセの塊。
粘着気質のストーカーでもあり、ヒロインのテリへの積極的すぎるアプローチが印象的。
- 公共の電波を乱用して、一方的にデートの約束を取り付ける
- 家宅侵入した挙げ句、部屋中を『IT』よろしく愛のメッセージが入った赤いバルーンで敷き詰める
- 留守録に狂気めいた謝罪文を読み上げ（絶叫）録音する
ただし、妄想癖が幸いし、次々とバカウケ番組を量産していきます。
UHF番組内のプログラムはおおよそがニューマンのアイデアによるもの。
盛りすぎだろ。
中盤にかけて一気にプログラムが充実。ジョージの神企画にブーストがかかります。
スタンリー・スパダウスキー
元・他局の掃除夫にして、UHFの救いの神でポップアイコン的存在。
平たくいえば、Mrビーン。
もっと平たくいえば、放送倫理コードギリギリの人。
とにかくモップが大好きだし、床にへばりついたガムを取るのも得意。
「人生はモップだ」の演説は名演説なので、ぜひ見てほしい。
パイロ
UHFの科学系切込み隊長。
イカレポンチの集まりの中で比較的まともな人格のオーナーで、やがて自身の冠番組『宇宙の神秘』を獲得。
記念すべき第一回は
「ご家庭の備品を使ってプロトニウムを作ります」
やっぱアカン人でしたね。
クニ
ク●ニの暗喩かと思いました。
KARATEマスターにして、今作の筋肉担当。（なお数の暴力）
いつもの日本人風の中国系アメリカン。
完全なる部外者にも関わらず、いつの間にか冠番組を得るまでに。
「幸運の魚でルーレット」とかいうふざけた企画にも関わらず、視聴率はうなぎのぼり。彼が現れると、とにかく画面上を人が宙を舞います。
ラウル
「ねぇ知ってる？亀の甲羅は吸盤になっているんだ。証拠に天井に投げつけてみるね」
動物系番組の専属担当なのだが、本人は動物を愛護しているとのたまうが、やることが総じて虐待のそれという同じくアレな人。
メキシコ生まれの陽気なサイコパス。最後まで誰が雇ったのか不明の男。
フレッチャー
クズ。
「私の欲しいのはロレックスだ！ローーレーーックス！！」
ケヴィン・マッカーシーってこんな役ばっかり。
もう本当に頭のおかしい人しか出てこない、、、
というかヒロインやサブを除いて、全体の60％近いキャラクターが頭おかしいって、
稀有かよと思ってしまいます。
・劇中のパロディ、秀逸なナンセンスギャグの洪水
今作は「消滅寸前のテレビ放送局」という設定を逆手に取った、チープかつユーモアセンスが爆発した、瞬間風速的ギャグをかまいたちばりに繰り出してきます。
個人的に好きだったのは意味不明なCM集。
「車を買いに来ねぇとかわいいアザラシちゃんを叩き殺すぜ」と視聴者を脅迫する自動車リース会社の社長（スポンサー）
365日対応であらゆるニーズにお答えする”フライ返しのみ”の大型ショッピングセンター、『スパチュラシティ』
絶対に10本もいらねぇ。
スパチュラを買い求めに行く家族も相当に頭ぶっ壊れてて、本当に大好き。
また、ジョージの企画した番組プログラムも、ぶっ飛んだ内容や
企画意図や動機不明の神番組が多く、思い出せる限り羅列します。
『ガンジーⅡ』
キャッチコピーは「非暴力の時代は終わった」
『コナン・ザ・ライブラリアン（図書館員）』
図書十進分類法を知らない輩は胸ぐらを掴んで天井にキスさせる勢い。
「この迫力」
返却期限をすぎたクズは容赦なくエクスカリバーで開きにする。
「この恐怖」
その他、
- 『スタンリー・スパダウスキー・ショー』泥の中からオハジキを見つけたものには、もれなくお水が飲めるんだ。消防ホースで!
- マイクとスパイクの”パンクでフィットネス”
- 泥んこプロレス（ゲストはゴルバチョフ書記長）
頭☆おかしくなりそう☆
・で、視聴方法は？
残念ながら、冒頭でも述べたとおり、字幕付きDVDは日本国内未発売という状況で、
なぜか米国ではブルーレイ化までされており、現地では疑問の声が上がっているそう。
こちらのVHSをお買い求めいただくか、酔狂なレンタルビデオ店に未だ在庫があることを確認したので、それをレンタルしてもらうしかないというのが実状です。
実は、ニコニコ動画に分割されたものが上がっており、
かれこれ10年近く生き残っているので、今後消されることもないでしょう。
画質は悪いですが、該当の動画は伝説のFBSナイトスクリーン（日本テレビで深夜放送されていた）バージョンで、UHFを知っている人が見たのは、おそらくこのバージョンなのではないかと。
伝説、と書いたのには理由があって、こちらのバージョンは放送用につけられた字幕が完全にふざけきっており、”飛び出し字幕”や”字体変え”といった、日本スタッフのおふざけが炸裂しているからなのです。
今見ると、ナンセンス具合とか明後日の方向から飛んでくる感じの笑いとかは『フライングハイ』『ケンタッキー・フライド・ムービー』『裸の銃を持つ男』等のザッカー兄弟のテイストに溢れていて良いですね。
英語のジョークが多彩な映画なので、英語がわかると面白さも一塩かもしれません。
![ケンタッキー・フライド・ムービー [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/51S+AZKRILL._SL160_.jpg "ケンタッキー・フライド・ムービー [DVD]")
バリューセットなんて出てたんか（ポチッ）
ナンセンスパロディ系のコメディはその後、『最終絶叫計画』 シリーズに引き継がれた感はありますが、いずれこのシリーズも網羅してレビューしたいですね。
ともあれ、なかなか日の目を浴びることがないUHFですが、
いつかどこかで再放送されたり、DVD化の日の目を浴びる日が来たならば、こう叫びましょう。
お し ま い
