極私的偏愛映画④『ミュータント・タートルズ(1990)』隠れすぎて視聴困難 カワバンガ!な珠玉の名作

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ミュータント・タートルズはご存知だろうか?

 

正式名称は『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』と言い、

「ある日、危険な化学物質<ミュータジェン>に触れた亀4匹が、同じく突然変異を遂げた元人間/現・ネズミの師匠の元、ニンジャ身体能力・ニンジャ武芸を身につけ、数々の悪漢と戦う為、夜なヾ街へと飛び出し、ニューヨークを平和を守るぜ!

あと、ピザに目が無いぜ!カワバンガ!」

 

…という、クスリでもキメながら考えたとしか思えない奇天烈な設定のコミックが原作。僕ら平成元年生まれ前後はタートルズがブーム真っ最中だったんですよね。

今回、ご紹介するのはそんなブームが産んだ、奇跡の一品。

  

残念ながら今作は、現在(2018)に至るまで、VHS以外の媒体でのソフト化は無く

僕が今、手持ちで持っているブツも、かつて住んでいた文京区は窪町小学校前の怪しいレンタルビデオショップでダビング(死語)してもらったものを、カビないように定期的に手入れして(信じられないが、VHSは保存状態が悪いとマジでカビるのだ)、どうにか存続させている状態である。

ネットオークションに当時のVHSが現れたかと思えば、あっという間に姿を消していく。

 

だから、今回に至ってはオススメもクソもないので、個人的な思い出をただ書き連ねるのみである。(奇跡的にニコニコ動画に本編が丸々UPされ、今だに生き残っているらしいので、気になる方はソチラへ行くか、連絡を頂ければ、焼いたDVDを譲ろうと思っている。布教第一。)

 

ストーリーはほぼ原作コミックに沿った内容であるが、変更点があるとすれば、恩師でありニンジャ体術のマスターである”スプリンター先生”が、原作では人間→ネズミであったのに対し、今作では知能を得て、人間サイズまでデカくなったネズミという

いずれにしろ恐ろしい出自を伴って登場する

 

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原作やアニメ版で登場した、同じく気の狂った設定のオーナーであるラットキングや「サワキちゃ~~ん」で一斉を風靡したクランゲ致命的に頭の悪い部下の代表格であるビーバスロックステディは登場せず、同作品内で最も有名株であるシュレッダーとスプリンター先生との過去の確執に焦点を当て、単純明快かつ勧善懲悪なストーリーとして纏め上げている。

 

続編の『2』『3』を観ると、このくらいのシンプルさが大事なのだと、考えさせられる。

 

初の実写化となった1990年版の監督はスティーブ・バロン

ご存じないのも無理は無い。筆者とて、『コーンヘッズ』くらいしか、この監督の代表作を知らないし、むしろ今作がキャリア的なピークだったのではないだろうか。と一時期は思ったが、後年経って調べてみれば、a-haの『テイク・オン・ミー』を手がけたという。

あんた神様かよ。

 

筆者の所有しているVHSはいわゆる「ソフト版」と呼ばれるシロモノで、

一般流通用としてテレシネ化されたもので、

 

●レオナルド大塚芳忠

●ラファエル=島田敏

ミケランジェロ三ツ矢雄二

●ドナテロ=塩谷翼

●スプリンター=小林清

 

という、洋画俳優の有名どころを煮詰めたような豪華ぶりで、このキャスティングに踏み切ったディレクターは天才としか言いようが無い。

あと、シュレッダーが若本

 

未見だが、フジテレビ放送版というものが存在するらしく、こちらは当時の放送を録画していた視聴者しか入手し得ない、更に入手困難な映像となっている。

 

あまりにカルトな存在ゆえか、米玩具業界のカルト信者の巣窟であり、”業界いち上層教育の行き届いた玩具メーカー”であるNECAから、この期に及んで4体セットのフィギュアがコミコン2018限定商品として発売された。

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欲しいが日本国内では入手困難。こんなのって無いよ。

今作の最も特出して語るべきは、その映像表現の多用さ、CGの無い当時、着ぐるみアニマトロティクス技術を駆使し、驚くほど表情の豊かさを見せるタートルズの面々、

また、そうした全身仕込みだらけの状態にも関わらず、恐ろしく俊敏なアクションを披露する、スーツアクターたちの身体能力の高さである。

 

後年、『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイが手がけた実写版(これもじつは好きな一作)でも、スーツアクターは存在したが、あくまでもモーション・キャプチャーである。

 

やっぱり昔の人はすげぇよ。

 

”映像表現の多用さ”と述べたが、今作でのシーンごとのロケーションやライティングの見事さ、状況に合わせたカッティングやレンズサイズやレイアウトの取りかたは、

映画の教科書になるくらいの完成度で構築されている。

 

望ましいタイミングでパチッとアングルもフレームもキマっているので、安心してシーンに集中できるし、キャラクターの心情や状況に合わせて画面の彩度が的確に変化するので、感情が乗った状態でのめり込むことが出来る。

およそ1時間弱とは思えない、各カットの長さも絶妙で、ダレすぎず、短かすぎず。

ちょうど良い塩梅の編集も見事。

 

コミック原作にしては、と書けば失礼にあたるかもしれないが、アガるシーンや情緒に満ちたシーンの描き分けに関して言えば、一流と呼ばれる他の映像作品群に劣るとも勝らぬ出来栄えだと、劣化防止のため見返すたびに思ってしまう。

 

…とはいえ、まったく堅苦しい映画ではなく、

 

同作の定番フレーズとなっている「カワバンガ1960年代のサーファー文化におけるスラングの一つ。 主な使用例として、サーフィンでうまく波に乗ることができたときに発せられる、「やったぜ!」 などがある。

に代表されるように、どんな状況に追い込まれても、グルーヴやノリ感で立ち向かっていくタートルズの姿は軽快かつ爽快で、落ち込んだときに何度も見返して楽しめる、娯楽作品としての雰囲気を留めている。

 

現在、DVDで入手できる今シリーズといえば、明確な『Z級』の烙印を押さざるを得ない『2』や『3』のみで、こちらも、まぁ駄目映画好きにはタマラン内容になってはいるし、この2作へのツッコミだけで一晩語れるくらい好きではあるのだが、

まずは珠玉の1作目を観て頂きたい、と思う。

 

映画作りが体当たりな時代、練りに練られた職人の技、ややシリアスでノーテンキだった時代の雰囲気を込みで、楽しんで頂ければ幸いである。

 

 

 

観られれば、の話だが。

 

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