感想『ランペイジ 巨獣大乱闘』まごう事なき怪獣娯楽映画。圧倒的なゴリラリティで襲い来る至福の115分間 ☆☆☆☆
TOHOシネマズ川崎にて鑑賞。
「白(ホワイト)ゴリラ教」の一員を自称する友人とふたりでツーリングも兼ねて行ってきました。
この映画を観るにあたって留意するべきは只一つ。
頭を空っぽにして観るのではなく、「観ているいくうちに頭がが空っぽになる」のだと思い知るのだ。
巨大化した動物たちが暴れまわる、1986年に発売されたアーケードゲーム「RAMPAGE」をベースに、「ワイルド・スピード」シリーズのドウェイン・ジョンソン主演で描くパニックアクション。ある遺伝子実験の失敗によってゴリラ、オオカミ、ワニの3頭が巨大化し、凶暴化してしまう。さまざまな動物の長所を取り入れた遺伝子によって巨獣と化した3匹の動物たちには、軍による攻撃も効果がない。巨獣たちはやがて大都会シカゴへと到達し、街中で破壊活動を繰り広げる。元特殊部隊員で動物学者の主人公デイビス・オコイエをジョンソンが演じるほか、ナオミ・ハリス、マリン・アッカーマン、ジェフリー・ディーン・モーガンらが共演。「センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島」「カリフォルニア・ダウン」でもジョンソンとタッグを組んだブラッド・オペイトン監督がメガホンをとった。
公開前の予告からしてこの有様。
「これはバカ映画で推すしかない!」と早々に舵をとったワーナーの宣伝部。
あなた方、同じくゴリラがウッホウホな映画だった『キングコング:髑髏島の巨神』でも同じような宣伝をしましたよね?
いやもう、ただ、ありがとうと言いたい。
そもそも立木文彦をナレーションに抜擢する映画は90%の確立で、
”そういう映画”じゃないですか。なので、洋画ファン的にはお察しですよね。
あらすじにもある通り、元は80年代末のゲームが原作。
ゲーム原作……うっ…頭が…!!
もはや原型留めてないかと思いきや、観賞後に観ると、
再現度は100%に近かったことを思い知らされる。
同じくゲーム原作である『バトルシップ』と同じく「テレビで流れてたらなんとなく最後まで観ちゃう奴」系の映画である今作。
「娯楽性を追求するあまり、メーターの針がへし折れる限界まで知能指数が減少してしまった」
と捉えることもできるのだが、
おかげでより純粋なエンタメとしての部分が事実上カンストしており、
リアリティがどうとか、人命の尊さだとか、小難しいお理屈を薙ぎ払うかの如く、ほどよくブッ飛んだ突っ込みどころ満載の設定を抱えて、怒濤のテンポの良さで突き進む心地よさ。
あとはとにかくゴリラである。
10mのゴリラが鉄骨を振り回し、爆炎をバックにゴリラみたいなマッチョ男と並び立つ勇姿。ただ、ひたすらにゴリラがサイコーなのである。
同じくして、今作は”怪獣映画”として、高い完成度を誇っている。
『パシフィック・リム』や本家東宝の『シン・ゴジラ』以降、「何をもってして怪獣映画とするか」については、様々な論が飛び交うばかりで、一向に本質的な答えが導き出せずにいるが、
筆者は今作をまごう事無き「怪獣プロレス映画の秀作」として認知した。
おおまかな理由として、「怪獣≠クリーチャー」の方程式内において、
様々なデザイン上の制約や怪獣の持つ歴史的バックボーンをとっぱらった上で重要なのは、巨大な存在同士の戦いに焦点をあて、それがカタルシスを伴う体験であったかどうか、俗世のしがらみを逃れて非日常の世界に高揚感を以て没頭できたかどうかが、
こと映画内プロレスというジャンルにおいては最も重要であると考えているからだ。
映画を観終わって、強くなった気分で劇場を後にするあの感覚。
我が物顔でビルを破壊し、有無を言わさず大地を蹂躙し、放つ一撃は確実に相手の一部を削り取る。
怪獣とは、肥大化した僕らの純朴な心そのものなのだ。
少なくとも、今日一日、僕の心はゴリラそのものだったと自信を持って言い切ろう。